教育機関への電子黒板導入事例

電子黒板の活用事例

大阪教育大学附属学校園の ICT 基盤整備

小中高校等での情報機器等ICTの活用により、学校現場における情報化は急速に進展しています。従来の伝統的な教授方法や学びの在り方がいまや大きく変換しつつあります。情報化に伴って、これまでは校外学習などで移動が必要だった他の教育機関と連携した授業が、今では大学間の遠隔授業を用いた連携や、高等学校と大学の連携についても積極的な交換が行われつつあります。

大阪教育大学においても、この新たな教育システムに対応するために、京都教育大学、大阪教育大学および奈良教育大学の近畿地区三教育大学による遠隔授業の相互実施などを目的として、京阪奈三教育大学連携推進事業が進行しています。実際、附属学校園では、電子黒板に遠隔授業システムおよび無線LAN設備を整備しました。

電子黒板システム構成

大阪教育大学附属学校では2012年に電子黒板システムを導入。目的は、生徒・児童が学習する教室のICT環境整備。電子黒板は学校の実情に応じて以下の4種類から希望調査を行って、導入する教室に応じた電子黒板を選定した模様。

(1)タッチパネル型電子黒板を、落下防止措置を施した工法により壁面に固定したもの。
(2)タッチパネル型電子黒板を、可搬型スタンドに固定して、教員が移動できるようにしたもの。
(3)超短焦点型プロジェクタ型電子黒板を壁面に固定したもの。
(4)超短焦点型プロジェクタ型電子黒板を、既設黒板にレールおよびスクリーンと共に取り付け、黒板に沿って横方向にスライド可能としたもの。

電子黒板システムの導入

電子黒板システムの導入状況は、小学校においては各学校の2学年分のクラスの数を、中学校においては各学校1年分のクラスの数を導入。また、全ての学校園の遠隔授業システム設置教室に、システムの一部として各学校1教室へ電子黒板を導入。原則として、常設機器として、設定、接続に手間がかからず、必要な際にはスクリーンを引き出すだけで利用でき、細かな調整作業が不要となるように配慮しています。また、ICTを用いない授業での影響も考えながら導入。

  • 附属平野小学校
  • 附属天王寺小学校
  • 附属池田小学校
  • 附属平野中学校
  • 附属天王寺中学校
  • 附属池田中学校

導入後アンケート

各機器を導入後、全ての附属学校園を会場にして、電子黒板システムや遠隔授業システムの使用方法について説明会を実施したところ、授業期間の説明会では生徒・児童の活動への対応や、出張や校務分掌で出席できない教員の方もおられたのですが、説明会に参加した先生だけでなく、より多くの先生に導入したシステムについての感想や意見を求めるため、幼稚園の電子黒板システムの説明会を除き、説明会が一通り終了した時期に、WEB上でのアンケートを実施しました。アンケート結果によると、HR教室に電子黒板を導入されている小中学校では、回収したアンケートのうち9割以上の先生方が説明会に参加したと回答しており、高等学校、幼稚園および特別支援学校は遠隔授業システムで利用する電子黒板のみであり、他の学校種と比べるとやや少ない結果でした。

電子黒板の利用にあたり先生方の心情について質問したアンケートでは、小中学校では5割以上の先生方が、実際に電子黒板の利用に前向きであることがわかりました。他方で、3割程度の先生方が不安があると回答しています。この結果から、先生方が積極的に利用できるような方法が必要であることが分かりました。

また、実際に遠隔授業システムの導入を行うのは不安であると回答した先生方も多数おられ、遠隔授業システムは電子黒板システムに比べ接続方式などの説明項目も多かったことがハードルを高く感じさせた原因と思われます。不安の解消には、実際に利用機会を設けていく必要があることが分かります。

普段のAV機器の活用頻度を質問したアンケートでは、3割程度の先生方は遠隔授業システムの利用に消極的な回答であったことがわかりました。一方で、普段からAV機器の利用頻度が少ない先生方は遠隔授業システムの利用に不安を感じながらも興味を示している方が多いことも浮き彫りになりました。遠隔授業の回数を重ねることで、これらの回答をした先生方の抵抗感をとれることが期待されます。

総評

電子黒板を始めとするICTの教育現場への導入効果は学習者である生徒・児童にとって5感を使った新しい授業形態として意欲を掻き立てるものであると言えます。一方、機器を活用して教材を作成する教師側の機器習熟度を高める啓発活動が不可欠であることも浮き彫りとなりました。学校内でも積極的に電子黒板を活用している授業を観察して、利用する場面や教材の集め方など教師間での情報交換も積極的に行うべきだと感じます。

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